レストアに欠かせないブラスト加工ですが、加工方法にも種類があります。
当店ではルーツブロワー(低圧式)のサンドブラストをおこなっています。
ブラスト加工とは
ブラスターについて
当初は水蒸気を使用して研削材(サンド)を噴射して表面を荒らす加工を行っていました。 現在はコンプレッサーを使い、5kg/cm以上の高圧空気で研削材を噴射することが主流となっています。 しかし、いかに高圧とはいえども希薄な空気の中では、微量の砂しか動かすことが出来ません。 砂あらしは秒速20m~50m程の風に砂が運ばれて起こる現象です。 高圧の空気ではなく、砂を空気中に持ち上げる風量と、砂を動かす風速がによって「ブラスト」が起こります。 そもそも空気圧は関係ありません。 当店のブラスターはこのことに着目しコンプレッサーではなく、ルーツブロワーという容積式空気搬送機を使っています。
一般的なサンドブラスター(高圧式)の不合理性
- ノズルチップ内で空気の膨張がおこるため、噴射された研磨材は拡散する傾向がある。
- ノズルチップ自体も摩耗がおこり、ノズルチップの口径が大きくなる。
- そのため、噴射された研磨材は拡散し研削能力が下がる。
- 研削材にエネルギーが転移しないまま、高圧空気を消費している。
- タンクの空気が減ると連続での使用が難しい。
また、空気を圧縮するため、水分が発生する問題があります。水は圧縮できないので空気を高圧にするほど単位容積当たりの水分量は多くなり、ドレン処理の問題が起こります。 研削材は水分、湿気を嫌います。ガラスビーズを使用する場合に、湿度の高い日などは詰まり、研削能力の低下などの問題が発生します。
ルーツブロワ(低圧式)
の利点
ウエットブラストとの比較
表面の美装を目的とした場合、当然使用する研削材は粒子が細かく軽い物の方がきめ細やかな仕上がりとなります。 ほとんど場合、ガラスビーズを使用しますが、エアーブラストの一般的なサクション式の場合、 #150 を使用します(数値が高いほうが細かい)。 高価な業務用の直圧式エアーブラストで #250 くらいが効率を考えると限界だと思われます。 アルミの地肌のようなツルツルとした表面仕上げにはもっと細かな #800 ~ #1000 のガラスビーズを使用します。 これくらいの細かさになると圧縮空気で飛ばしても研削材自体にエネルギーが伝わらないので加工物に当たっても研磨能力が低く加工に時間がかかってしまいます。 時間がかかるということは研削材が当たる回数も増えるという事でそれによって研削材自体が破壊され最終的には加工が出来なくなってしまいます。 (わかりやすく言えば、とても弱い力で目の細かい #1500 のサンドペーパーを掛けているようなものでとても効率が悪いのです。) ウェットブラストは、その軽い研削材を力強く当てるために重い水を使うのですが、逆にその水がクッションとなって(研削材と加工物の間のバリアになってしまう)研削能力が低下してしまいます。 ウエットブラストは加工に時間がかかると言われますが諸刃の剣と言ったところでしょうか?
当店では、アルミナ・ガラスビーズや数 μ という非常に細かな銅のパウダーを使ったサンドブラスト加工を行うため、ウェットブラストと同じくらいの表現加工ができます。